ルドルフによって助けられたエルフィノは、ルドルフの死を前にしても、ただ茫然とするだけで、それ以上、何の反応も起こさなかった。

「今、こんな時に言うのは酷かもしれないけど、ルドルフは、きっとあなたの事が好きだったのね。

 でなきゃ、あんな事出来ないもの。

 ルドルフは確かに悪い奴だったけど、人にとって一番大切な、素敵な気持ちを知っていたわね。

 あなたを助けるために逝った時の顔が、とっても幸せそうだったわ。

 帰りましょう、エルフィノ

 昔のあなたのいたところまで」
 
 そう言って、エルフィノの所まで行こうとすると、エルフィノは、その場から崩れるように、炎の中へと落ちて行った。

落ちて行くエルフィノの瞳から、涙がこぼれ、炎の中に、消えた……。

「エルフィノっ!

 どうしてっ!?

 どうしてよっ!

 死んじゃったら何にもならないじゃないっ!」

必死で叫ぶあたしを、王子が押さえ、そして引っ張って行った。

「弱虫っ!
 
 あなたが死んだりしたら、ラルフ王が余計悲しむわよっ!」

引っ張られて行きながらも、あたしは尚、叫ぶのをやめる事が出来なかった。