「さっきも言ったけれど、ラルフ王はあなたを裏切ったりしてないわ!

 忘れさせられていただけで、本当はあなたの事を愛していたんだわ。

 そして、愛する人に殺されたのよっ!

 あなたは、知らなかったとはいえ、最愛の人を殺した。

 そして、心の隙間を埋めるために、ラルフ王を憎んでいた。

 いえ、憎むことでしか自分を支えられなかったのよっ!

 ラルフ王を憎んでばかりいないで、本当の事を見てっ!

 いつまでも、あなたに憎まれ続けているラルフ王が可哀想だわ!」

しばらく黙って聞いていたが、エルフィノは、その眼をあざけるように光らせ、

「そんなたわ言、信用出来るかっ!」

そう言いながら、次第に、瞳を悲しみに支配されていくエルフィノの様子は、今にも崩れだしてしまいそうな程で、エルフィノの心を占めるラルフ王の大きさを、改めて知らされたのだった。