クリスは走っていた。

ただ、ひたすらに、はるかの捕らわれている魔女の館へ向かって。

そして、自分自身と戦っていた。

臆病だった自分の心と。

今、彼は挑戦しているのだった。

自分の力に。

自分に何が出来るのか。

そんな、決意を込めて、走っていた。

助けられるという自信がない。

そして、選んでくれるという自信もない。

けれども、彼は走っていた。

自分の想いを正面から捉え、そして見つめ、ぶつかってみよう。

彼は、そう思っていた。