彼方へ

先にたって歩くエルフィノは、どこか寂しげだった。

「エルフィノ」

呼んでみても、振り返りもせずに歩いて行く。

さっきの事を気にしているんだろう。

あたしに自分の気持ちを知られたと思ってるんだろう。

「ラルフ王を殺したのはあなたなの?」

さっきの言い方では、ラルフ王を殺したのはエルフィノのようだった。

エルフィノは、

「そうだ」

そう答えるだけだった。

そして再び歩き出す。

その後ろ姿からは、絶対に心の内を見せまいとする強い意志がほとばしり出ていて、あたしの言葉を拒否しようとしている事が解った。

けれど、あたしは構わず続けることにした。

「ラルフ王は、あなたを裏切ったりしてないわ」

あたしがそう言うと、エルフィノは立ち止まった。

「そのような事を言っても逃がしたりはしないぞ!」

そう言って再び歩き出す。

エルフィノが、動揺しだしたのが解る。