彼方へ

「王の次は巫女という訳か」

顔を上げると、エルフィノが振り返って、あたしの胸元を見てた。

ああ、このペンダント……。

次の瞬間、エルフィノの眼に深い影が過り、そして、それを隠すように、氷のように冷たい眼をした無表情で覆っていったのだった。

それはとても苦しそうで、あたしはそこに、エルフィノの愛の形を見つけたのだった。

こんなにラルフ王を想っているエルフィノならば、話せば解ってもらえるかも知れない。

そりゃ、とまどうかも知れないけど、でも、やり方を間違えてしまっただけだ。

王妃様も、愛しすぎるあまりに周りが見えなくなっちゃって、それであんな事をしたんだし。

それに、ラルフ王の本当の気持ち……そう、真実を告げれば、きっとエルフィノは解ってくれる。

それに王妃様も、今までの苦しみから解放されるだろう。

そうなればいい……。

そうすれば、全てがうまくいく。

皆が幸せになれる。