彼方へ

「ずいぶんそれが気に入ったみたいだね」

そう言ってお婆さんは“それ”を手に取って光にかざしている。

そして、ふっとこっちを見ると“それ”をあたしの手に乗せた。

「えっ?」

と思った時には、辺り一面まばゆい光に覆われて……

「あなたが……そう、あなたでしたか……」

お婆さんは、何やら訳の解らない事をぶつぶつ言っていたが、やがて落ち着きを取り戻したみたいで、

「お嬢さん。これを持って行って下さい」

うっ、欲しいけどそんな高そうな物買えないよ。

あたしがそう言うと、お婆さんは首を振ってもう一度言った。

「持ち主が現れたのです。

 私は“それ”を持ち主に返す為ここで待っていたのです。

 どうかお持ち帰りください。巫女様」

それで、あたしがお婆さんに

「やっぱり、こんな高そうな物受け取れないです……」

言い終わるか終わらないかのうちに、あのお店“シリウス”の姿は跡形もなく消えていた。