「これからオレが行く魔女の館は、エルフィノの魔力に覆われている。

 全てがエルフィノの思うままだ。

 そんな所へ、お前達のように戦いに不慣れな者が行ったら、はるかを助けるどころか、お前達まで捕まってしまう。

 だから、ここで待ってるんだ!」

そして、

「フェルミナ、後の事は頼んだぞ!」

そう、言い残して、部屋から出て行った。




「ボクも行く!」

王子が出て行った後の部屋で、クリスは泉に向かってそう言った。

泉は、そんなクリスをじっと見ているばかりで、何も答えようとはしなかった。

「王子はああ言ったてたけど、ボクだって行きたい!

 ただじっと待ってるのなんて嫌だ!」

「……」

「ねぇ泉。

 ボクには無理だと思う?

 ボクにははるかを助けられないと思う!?」

泉は、問いには答えずに、じっとそんなクリスを見るばかりだった。

「ねぇ泉?

 ボク達が初めて会った時の事覚えてる?」

クリスは、昔を懐かしむようにそう言った。