愛しすぎるあまり、周りが見えなくなり、そのせいで他の誰かを傷つけてしまう。

そして、表面上では勝ち取ったかのように見えたラルフ王の愛は、心の奥には、エルフィノへ向けらけている真実の愛があり、そのせいで、苦しみを増し、自らを騙していた偽りの愛を思い知らされる。

そんな、行き場のない想いを抱え続けて来た王妃様を、あたしは、可哀想に思わずにはいられなかった。

読み終わると、王子は本を閉じ、皆の方を向き、

「こういう事なんだ。

 何か質問は?」

そう言った。

それに対して、何も質問する人はいなかった。

そして、その話が終わると、あたしの胸元から出ている光は、その力を弱め、最後には消えた。

ふと、胸元に手を当ててみると、そこには、あの不思議なペンダントがかかっていた。