私は、やがて正式にラルフ様の妃になる事が出来ました。

 けれど、たまに見られる、ラルフ様の寂しそうな表情を見ると、私は、次第に罪の意識にさいなまれるようになってきました。

 ラルフ様の、どこか遠くを見る様な眼を見ると、そこに、消されてもなお残っている、エルフィノへの愛を思い知らされた気がして、私の心は、自己嫌悪と怯えとで、いっぱいになっていったのです。

 真実を告げなければならないという気持ちに、そのせいで、王の気持が離れていってしまうのではないかという恐れがブレーキをかけ、とうとう最後まで告げる事が出来なかった。

 だからせめて、こうして残しておくことで、少しでも、この罪を消すことが出来れば……

 私のせいで、エルフィノから恨まれ、そして殺されてしまったラルフ様に、せめてもの詫び言として、これを残します。」



……この、王妃様が今まで1人で抱えて来たであろう苦しみを知り、あたしは涙を止められなかった。