「訳を話せ!」

映像と同時に、音声も伝わって来た。

どうやら何か話しているらしい。

「わかった、話そう」

そう言って、王子は側にあった書棚に歩み寄って、そこから一冊の、古ぼけた黒い革張りの本を取り出すと、その本を開き、読み始めたのだった。

「……私は、もう、あの2人を引き離す事は無理だと思い絶望した。

 けれど、私には諦められない。

 あんな、普通の女とあの方が一緒になるところなど、絶対見たくない。

 そう。

 こうなったら、あの女、エルフィノを魔女にしてしまおう。

 一度、魔女だと噂されれば、王家は魔女かも知れない女など、決して迎え入れはしないだろう。

 そうすれば、ラルフ様も、私の方を見てくださるのではないだろうか。

 そう思い、私はそれを実行に移し、また、父に頼み、ラルフ様との縁組を進めてもらった。

 ラルフ様は、エルフィノと過ごした時の記憶を消されているようでした。

 きっと、極秘のうちに、そうされたのでしょう。