彼方へ

以前は、決して他人を傷つけるような事はしなかったのに。

優しくて、けど、自分には厳しい。

そんなところを、あたしは尊敬してたし、自分にないものを持ってる彼を、羨ましいとも思ってた。

そんな友達を持てた事を、あたしは誇りに思ってた。

なのに、今のクリスは、いつものクリスじゃない……。

そう思って、じっとクリスの事を見てると、クリスは、ふっと眼を逸らし、やるせなさそうに眼を伏せた。

やっぱり、おかしい……。


王子が説明してくれた作戦っていうのは、まず、ルドルフが今日こそは完璧に自分を殺そうとするだろうから、ルドルフの動きをマークしているように言ったの。

何で?って聞いたら、

「ルドルフの後ろにいるヤツが、魔女のエルフィノだからだ。

 エルフィノが関わってるとすれば、当然魔術を使ってくるだろう。

 今までに狙われた時もそうだったし、このまえ捕まった時も、魔獣が出てきたりしたしね。

 今夜は満月だ。

 魔術を行うのには最高の夜だ。

 それに、次の満月まで待っていたら、どんどんオレの方も、戴冠式に備えて警備を固めていかなけりゃならない時期だ。

 仕掛けるなら今のうちって訳だ」