彼方へ

「このままでいいのか?」

王子の声に、クリスが立ち止まる。

「お前が構わないのなら、オレは、はるかをオレのものにするぞ

 幸い、はるかはまだ誰の事も好きになっていないようだし」

その言葉で、クリスはこっちへやってきた。

「はるかを離してやれ。

 そんなに強く抱いたら苦しいじゃないか」

クリスが王子にそう言うと、

王子はあたしに、

「苦しかった?」

聞いたんで、

あたしは大きく首を縦に振った。

それでやっと、あたしは自由になったの。

ふうっ、苦しかった。

あたしを離すと、王子はクリスの方を向いた。


「君が、はるかに何も言わないのなら、君は身を引くんだね。

 どうする?」

そう聞かれてクリスは、暫らく黙っていたけれど、やがて、あたしの方を向いて、

「はるか。

 もしボクが、君に好きだって言ったら、君は困る?」

そう聞いてきて、じっとあたしの返事を待っている。