そこでは、今度はクリスが残る事になった。

「ボクが食い止めてるうちに、早く王子を連れて逃げるんだっ!」

「でも!」

こんな状態でクリスを1人残してなんていけないよっ!

こんなにたくさん魔物がいるのに……。

「ボク達は、王子を助けに来たんだよ。
 
 何よりもまず王子を連れて帰らなきゃならないんだ。

 ボクは大丈夫だから、行くんだ!」

「わかった……」

あたしは、走り出しながらクリスに言った。

「あの抜け穴の所でねっ!」

それからというもの、あたしと王子は、走りに走って、ひたすら抜け穴目指していたのだった。

そこに、泉とクリスが来ている事を祈りながら……。


「あと少しで抜け穴が見えてくる筈よ」

そう言って振り返ると、少し後ろに王子が立ち止まっていた。

仕方ないんで、あたしは王子の所まで戻って、引っ張って行こうと思ったの。

それで手を伸ばしたら、反対に王子に捕まれてしまったのよ。