彼方へ

反対に聞き返すと、クリスは、その瞳に真剣な光を浮かべて、まっすぐにあたしを見た。

なんだろ?

と思って首を傾げていると、

「何でそこまで頑張れるの?

 助けるのがルイス王子だから?

 それとも……」

途中でやめてしまったから、聞かれた所まででもと思って答える事にした。

「当たり前じゃない。困ってる人を助けるのは。

 王子だからとか、そんなのって関係ないと思うわ」

そう言って、あたしはクリスの瞳をじっと見つめた。

ちゃんと伝わるように……。

「そっか、そうだよね……」

そう言って、クリスはもう、その事については何も言ってこなかった。



ずーっと、あちこち走り回ってた甲斐あって、あたし達は、とうとう王子の捕まっている地下牢を見つけた。

そっと、小さな声で、

「ルイス王子」

呼んでみた。

見張りに見つかったらヤバいもんね。

そしたら、向こうの方で誰かが動いたみたいな気配がした。