彼方へ

「どうやって入るの?」

さっき聞いても答えてくれなかったし、着いちゃってるんで聞いてみた。

あたし達が今いるのは、建物の壁の、庭に近い所だった。

クリスは、暫らくあちこち見まわしていたけど、やがて1つの古ぼけた井戸の方へ歩いて行って、色々調べ物をしてからこっちを向いて、手を振った。

「あったよ。行こう!」

行こうって、もしかして、その井戸の中から入るのぉ!?

そう思って、あたしが、

「もしかしてそれ、抜け穴とか言うんじゃないよね。

 その中の仕掛けを動かすと、その辺に入口が出てくるとか……」

って、聞いてみたら、

「よく解ったね。その通りだよ」

なんて言うもんだから、泉と2人で顔を見合わせちゃった。

だって、ねぇ。

お城に抜け穴があるとかいうのって、楽しそうで良いけど、実際にあるとは思わなかったのよ。

そしたらクリスは、ウインクしながら、

「こんな様な古くて大きなお城には、こういう抜け穴はいくつもあるものさ。特にこういった不気味な所はね」