「大変だーっ!」

宮殿の中がやけに騒がしい。

「王子がっ、ルイス王子がーっ!」

叫び声に続いて、ドタバタと走る音。

いくら神経極太のあたしでも、こんな騒がしいなかで、いつまでも寝ていられないわ。

それに、王子が大変とか言ってたみたいだし。

あたしは起きてすぐ、泉とクリスの所に行った。



「何かあったの?」

扉を開けるなりそう言うと、もう2人とも揃っていて、こっちを見て大変な事をあたしに教えてくれたのだった。

「何かあったの?

 じゃないわよ。

 ルイス王子が何者かに連れ去られちゃったよっ!」

つっ、連れ去られたっ!?

「誰によっ!?」

思わず取り乱しちゃったけど、それはクリスの一言で一気に吹っ飛んでしまった。

「どうやら、この事について王妃様が何か知っていらっしゃるようなんだ」

何!?

じゃあ、何でそれを知ってるのに助けに行かないのよっ!