今、あたしは、昨日決めた通り王子と話すため、朝食が終わってすぐここにやって来たのだ。

「話す必要などない。帰れ!」

とか言われたらどうしようかと思ってたけど、とりあえずは大丈夫だったからほっとした。

さて、ここからが問題だわね。

なんせ、相手はあの王子。

そう簡単に心を開いてくれるとは思えない。

あたしは、大きく深呼吸をして部屋の中へ足を踏み入れた。



部屋の中がしんと静まり返っているから、さっきのは空耳で、実は誰もいないんじゃないかと思ったほどだった。

灯りもつけていない、その暗い暗い空間の中に、王子はポツンと座っていた。

「王子……」

呼んでみたけど何の返事もない。

「あの……」

今度は、王子のすぐそばまで来て呼んでみた。

「何の用だ?」

やっと答えてくれた。

でも、この先こんな調子で大丈夫なんだろうか?

ちょっと不安になってきた……。

ダメダメ。

あたしがそんな弱気でどうするっ!

絶対大丈夫って信じて頑張れば、きっとうまくいく!