「それはそうと、今までの状況を話してもらえますか?」

クリスがそう言ってフェルミナさんの方を見た。


ああ、そっか。

あたし達、ここにフェルミナさんの愚痴を聞くために来たんじゃなかったんだ。

本来の使命を忘れてちゃいけないよね。


「はい。それでは、お話します」

そう言って、フェルミナさんが話してくれたのは、大体こんな感じだった。


先王が亡くなってからというもの国が乱れてきた。

それというのも、王子が18歳になり王位を継げるようになるまでの1年間、ルドルフ・カサエル大臣が国を統治する事になったんだけど、王子の暗殺未遂事件が度々起きていて、大臣がその第一容疑者なんだって。

大臣は、王子が王位を継ぐまでの穴埋めって訳でしょ。

このまま自分が王になりたいっていう動機と、いくつかの証拠も見つかっているらしい。


話の内容は大体こんな感じだったんだけど、あたし達が実際にやることになったのは、“犯人探し”“大臣の様子を探る”“王子を守る”そういったことを色々と。