「申し訳ありませんでした」

あたしたちに用意してもらった部屋で休んでいたら、フェルミナさんが来てそう言った。

「我々の方で来ていただいたといいますのに、あんな事になってしまい誠に申し訳ありませんでした。」

「フェルミナさんのせいじゃないよ、気にしないで」

泉がそう言って、フェルミナさんを気遣う。

「ところで、王子っていつもあんな感じなんですか?」

あたしは聞いてみた。

「ええ。

 それが、以前は今ほどではなかったのですが、先王の、王子の父上であられるラルフ・マルクス王がお亡くなりになってからというもの、いつもあの調子で。

 あなた方をお呼びになる事を反対なさっていたのです」

さっきの反応で解ってはいたけど……

「王子は、素晴らしい才能をお持ちです。

 その所為か、人に頼る事をお嫌になるのです」

でも、それにしてはさっきの寂しそうな王子の顔が気になった。