「あの、王子。

 この前の返事を」

「オレはもう、王子ではないんだが?」

笑いを含んだ声でそう言って、あたしにソファに座るように言った。

「えと。

 じゃあ、何て呼べばいいの?」

「そうだな。

 ルイスとでも呼んでくれればいいが」

「それじゃあ。

 ルイス、おめでとう!

 これからも大変だろうけど、王様として頑張ってね!」

さっき言いそびれてたから、あたしはそう言った。

「それじゃあ、さっそく返事を聞かせてもらおうかな」

そう言って、ルイスは、うっとりするほど綺麗に微笑んで、こっちを見た。

うっ、美しっ!

そこで見惚れている場合じゃないんで、あたしは大きく息を吸ってから話し出した。

「かなり迷ったけど。

 ……あたしやっぱり残れない。

 まだ早いと思うから。

 お父さんやお母さんに何も言わないで、1人で結婚しちゃうわけにいかないもの

 それに、学校もあるし。

 ルイスも、なるべく早くお妃さまをもらって、国を治めていかなきゃならないでしょ?

 あたしだったら、いつ来られるか解んないもん。

 ルイスは、もっと相応しい人を見つけて、立派な王様にならなきゃね」