彼方へ

「でも、私、やっぱりクリス様が好きだわ。

 だから、クリス様が愛しているあなたの事も好きになれるわ。

 だから、もし何かあったら言って。

 国を救ってくれたあなたへの、私からのせめてものお礼です」

レイリア姫の想いを初めて聞かされて、あたしは自分が情けなく思えてきた。

だって、彼女はあたしより年下よ。

その彼女が、こんな風に考えてるっていうのに、あたしってば、何も考えてなかったような気がする。

「ありがとう。

 人それぞれ、いろんな想いを持っているだろうけど、あたしは最低かもね。

 ルドルフより酷いかも。

 彼は、そりゃあ悪かったけど、でも、全てはエルフィノの為にやった事。

 あたしなんて、誰かの為に何かするなんて事出来ないもんね」

そう言ってあたしが笑うと、レイリア姫は、違うと言うように首を振った。