彼方へ

その様子には、あの、生意気な所がなく、随分イメージが変わって映った。

「今夜、あなたがここに来るんじゃないかと思って」

そう言って、目を伏せる様子から、何か、思い詰めたような感じを受けて、あたしは彼女の事が気になった。

「お兄様と、国の危機を救ってくれてありがとう」

え!?

レイリア姫が素直にお礼を言うなんて。

「あの時の事は、悪かったと思っています。

 私、どうかしてたの。

 あのままだったら、ルドルフと結婚させられてたかも知れないから。

 ルドルフと結婚するぐらいなら、死んだ方がましだって思ってたわ。

 そんな時、助けてくれたのがクリス様だったの。

 凄く嬉しかった。

 それで、クリス様があなたの事好きだって知って、あんな事言ってしまって

 ごめんなさい」

そう言って、目を伏せる彼女は、とても今までとは別人のようで、あたしは驚いた。