そう聞くと、あたしはいたたまれなくなって、

「クリスの所行ってくるっ!」

って言い置いて、走り出していた。




あたしは、走ってクリス達のいる部屋に戻って扉をあけると、クリスの所まで歩いて行った。

「さっきから、騒々しいな」

そう言って王子があたしを見る。

「クリス。

 ちょっといい?」

そう聞くと、クリスは、戸惑いながらもOKしてくれた。

「泉が戻ると思うから、クリスをちょっと連れてくね」

王子にそう言い置いて、あたしはクリスを連れて、さっきのテラスに来た。

いつの間に戻ったのか、泉の姿は見えず、あたし達の話を聞いているのは、テラスに垂れている大きな木の枝くらいだった。

「ごめんなさいっ!」

クリスを連れて来て、落ち着いたところで、そう言って頭を下げた。

あたしがあんまり突飛な事をしたんで、クリスは驚いている。

それに構わず、あたしは先を続ける事にした。

だって、途中で止めると、言葉に詰まって、それ以上言えなくなっちゃうような気がしたから。