入ってきたのは男子だった。



..え、何。 転校生?

頭の上に?を浮かべているとその転校生が話しだした。

「佐倉颯太です。宜しくお願いします。」

そういって軽く礼をした。


眼鏡をかけていて、髪は真っ黒。ちょっとくせっ毛。

第一印象はそれだけだった。

どこにでもいるような普通の男の子。


「んーと、佐倉の席は...あそこ」

そういって指をさしたのは、あたしの隣。

あたしの隣は転校していった人の席だった。

だから誰も使ってない。


彼は「はい」と返事をしてあたしの席に座った。

「あたし相崎玲奈、よろしくね」

あたしは彼に笑って挨拶をした。

第一印象大事だしね。

「よろしく」

興味なさそうにそういって前を見た。

反応うっすーっ。

..ま、こんなもんかぁ。


「...これで終わる」

朝のホームルームを終え、すぐに愛梨が後ろを向いた。

「佐倉君、あたし...って、あれれ」

横を見ると佐倉君はすでに寝ていた。

え、寝ちゃうんですか。

眼鏡かけたまま寝るんだー...。

まじまじと顔を見ていると、愛梨に笑われた。

「もう、佐倉君に惚れちゃったの?」

待て待て。 それはないよっ。

だって...。

「あたし、彼氏いるしー」

そう、あたしには年上の彼氏がいるのだ。


一つ上の先輩で、サッカー部。

あたしはそこのマネージャーをしている。

先輩とは半年前に付き合って、今でも仲がいい。


「そうだねー、ほんと羨ましいよ」

はぁ..とため息をして、教室の窓際を見ていた。

「..ふーん。 窓際にいるんだ」

ニヤニヤしながら愛梨の反応を待つ。

予想通り、顔を真っ赤にして慌てていた。

「ちっ、違うよっ。 あっち、だからっ」

必死に反対の方を指さしている愛梨を見て、爆笑した。

すっごく分かりやすいっ。


そんな他愛もない話をしていた。