キーンコーンカーンコーン...


ガラガラッ

「...やったっ、ぎりセーフッ!」

息を切らせながら教室の入り口でガッツポーズをした。

今日のあたし、かなりついてますっ。


「なーにがセーフだよ、完全アウト」

後ろからいきなり低い声がした。

それと同時に頭を叩かれる。

...っち。

「いいじゃんか、小松ー」

後ろを振り向いて、拗ねた真似をする。

小松はあたしたち2-1の担任。

見た目は優男って感じだけど、豪快に笑うところが面白い。

まぁ、あたしのクラスでは結構人気がある方だ。


教室からはクスクスと笑い声が聞こえた。

「こら相崎、先生をつけなさい」

あきれ顔で小松が言う。

だって年そんな変わんないしさー。


心の中で文句をいいながら席につく。

「ねね、玲奈」

前の席の愛梨が後ろを振り返って小声で言った。


愛梨はあたしの一番の友達。

可愛くて優しいとってもいい子なんですっ。

そして、恋する乙女。

このクラスにいるらしいけど、まだ教えてもらってない。

誰なんだろー。 気になる...。


「ちょっとー、聞いてる?」

愛梨があたしの目の前で手を振っていた。

その仕草さえ可愛く見える。

「あー、ごめん。 なになに?」

愛梨ははぁ..とため息を吐いて、あたしの耳に手を当てた。


すると。

「おい、そこの二人。 ちゃんと話聞け」

小松の怒った声が聞こえてきた。

愛梨は苦笑して前を向いてしまった。

なんだよー、気になるじゃんか。

まぁ、愛梨の話をちゃんと聞いてなかったあたしが悪いんですけど。


あたしは相崎玲奈。

高校二年生やってます。


「じゃ、入れ」

小松の合図でドアが開いた。




そう、これが普通の生活を変えた瞬間だった。