私は気付いた。
気づいてしまった。

私が想真を好きだということに。

気付きたくなかったことに。

『想真…。』
私は唇を震わせて呟いた。

そして、

驚きのあまり

その場に立ち竦んでしまった。

「冬菜…。ごめん。」

想真はそう言い、
その場に座り込んでいる
私に手を伸ばした。

そのとき初めて見た

想真の顔。

それはとても辛そうな

素敵な顔だった。