駅の改札を通り、ホームへ向かった。

滑り込んできた電車に乗り込む。

すると、わたしの肩をぽんとたたく人がいた。


「お久しぶり!」

明るい声の持ち主は、わたしが忘れられないあの彼の、お母さんだった。


「こんにちは」

わたしは、ぺこりと頭を下げる。
相変わらず礼儀正しいわね、と微笑む顔が、彼にそっくりで息を飲む。