『もうすぐ、桜が咲くな』


キミが、わたしにそう言ったのは四年前の春待ち月だった。


「一緒に桜を見たい」

わたしがそう言ったら、キミは困ったように笑って言った。


『桜は毎年咲くだろ』


…桜が毎年花を咲かせても、隣にキミがいないんじゃ意味がない。


そう言いかけて、言葉を飲み込んだ。