途中、目の前に、白い花びらが舞い降りてきた。


もう、何年も見たことのない、雪だった。


―――まるで、桜の花びらみたい


手のひらをかざしてみるけど、雪ははらはらと舞い、手のひらには落ちなかった。


降り始めの雪は軽やかに舞い落ち、まるで春の満開の桜の木の下に立っているかのようだった。