「卒業おめでとう」

「…なんで、いるの?」


驚いて立ち止まったわたしの所まで、彼がゆっくり歩いてきた。


「コッチで就活するのに帰国したんだよ。卒業は夏になるから」


「…なんで、だって…」


言葉にならないわたしのことを、彼がふわりと抱きしめた。


「会いたかったよ」

わたしは頷くばかりで、一つも言葉が出てこなかった。


「寂しい思いをさせて、ごめんな」


溢れる涙を堪えることができなかった。