「寒いなぁ…」

誰に言うでもなく、つぶやいた。

コートの衿を合わせて、ストールを巻く。
ブーツを履いて玄関をでると、しんと冷えた空気に取り囲まれた。


「寒い…」

寒い、以外の言葉が出てこない。


わたしは、通いなれた駅までの道を歩き出した。