恋愛コンプレックス



「拓那の過去・・・っていうか、そんな感じ?」



「・・・過去?

って、勝手に話しちゃダメだろ・・・」



「拓那に話せって言われたんだよ。

委員長を諦めさせるために。」



南の声色は真剣だ。



「諦め・・・させる」



「そ。」



過去って・・・なんだ?



てゆうかそこまで・・・私のこと


・・・考えるのはやめよう。



「拓那さ。お母さんいないんだ。」



・・・え?




「出てったんだよ。拓那が少二くらいのときに。

拓那の父さんは自分達を捨てたって言ってる。

だから拓那は、自分の母さんのことをよく思ってないよ。」



「・・・。」


「拓那の母さんは、拓那自身と、拓那の父さんを大好きだって言ってた。

拓那はそれを信じてたから、なんか喪失感があったんだろうね」



長谷川は、お母さんが大好きだったんだな・・・。







「今までも、そうやって諦めさせてきたのか?」


一気に南の顔が曇る。



「・・・なんで?」


南はこっちを見ずに問いかけた。


「話慣れてたからな・・・」