恋愛コンプレックス




「は、せがわ・・・くん?」



女の声は震えている。



当たり前だな。


あれだけ王子様通してたらな。






でももうそんなの。いい。



今は


「天瀬はどこだって聞いてんだよ!」



今は。


今は天瀬を助けたい。




俺は気づけば怒鳴っていた。




あまりに驚いたのか、女は口をひらいた。


「森林公園の・・・奥の水道の、四~五メートルの崖みたいな・・・」



・・・崖。