「ねぇねぇ、ちょっといい?」

ある昼休み、私が教室にいると見知らぬ女の子に呼ばれた。

黒髪のショートボブで、背が低い。どっちかっていうと目立たない感じの子だった。

「いきなりごめんね。実はこのノートのことなんだけど…」

そういって見せてきたのはまぎれもなく
《井上翔平ノート》
だった。

「それッ−」

どこで落としちゃったんだろう。
私は自分を責めた。
だけど…

「あ、ちがうちがう!脅迫とかじゃないの!ね、これ見て」

そう言って彼女が差し出したのは一冊のノート。

《上北爽ノート》

「実は、わたしも一緒なんだ」