田中杏子(あんず)は溜め息を吐いた。 最近、精神的に疲れているからだ。 「平安時代では...」 古典は好きだ。でも、頭には入ってこない。頭では別のことを考えている。 事実上、彼氏の宮崎昌史(まさし)のことだ。 「(付き合ってる、んだよね)」 うん、付き合ってる。この前だって、3ヶ月記念日のデートしたばっかだ。 「(じゃあ、昨日のは?)」 ガンガンと徐々に痛くなってくる頭痛に、少しだけ髪の毛を握った。ザリ、と特有の音がする。 ────遡ること、昨日。