「ねぇ、なんで千春は
僕にここまでしてくれるの?」
予想もしてなかった言葉が耳に届く
ぇ、と短い声をもらした
なんでってそんなの、
ほっとけないから…
それに、…っ…、ここまで考えてやめた
「とにかく、ほっとけないから」
あっさりとした返事を
叶多に向ける…
そっか…ありがと
って、ふわって笑ってくれた。
やばい、可愛い…
いーぇ、どーいたしまして
なんて言いながら
叶多の髪の毛をクシャッと撫でる
叶多のハニーブロンドの癖っ毛の
髪が、柔らかくって
可愛い……。
ぁ、とまた小さな声をもらし
「まだ消毒終わってないでしょ
話を反らすな(笑)」
なんて言って笑い合う
最後の傷を見た…
膝から滴り落ちる鮮やかな血
ゴメン…我慢して
ギュッて消毒液のしみこんだ
ティッシュを傷口にあてる
痛っ…ってまた、少し顔を
歪める
あれ?…ふと、異変に気付く
「叶多…?こんなところに傷
あったっけ?」
「ぇ…?ぁ…っ……
それは、…そぅ!転んで…!」
明らかに動揺してる…
「転んだだけでこんな
上手く真っ直ぐな傷残るか?」
「…っ…………」
この顔を何処かでみたんだ…
少し前…
いや…!もっと昔…
たしか、五歳の頃に……
