翔様の部屋に着いた私はドアをノックする。
コンコン
返事なし。
「入りますよ?」
翔様はまだ寝ている。あの様子だと、いつものように狸寝入りだろう。
「遅刻します。早く起きてください」
「え、やだ」
ほら、やっぱり起きていた。
だが、やはりベッドから起きてこない。
「やだではありません。早く起きてください」
「悠がキスしてくれたらな」
「なっ…」
彼は最近、私の化けの皮をはがして本来の私にしようとする。
でもきっと遊んでるんだ…。
否、遊んでいる。
でも、私は大人。だから大人な対応をするの。
「すっとぼけないで早く起きてください」
「すっとぼけてなんてねぇよ」
彼はときどき、いや常に自分勝手。
今時の言葉でいうなら…
<俺様>
