龍樹side

あたしは、ずっと夜の街をふらついていた。

気付けば家をでて、3時間以上立っていた。



ーそろそろ家帰ろ…


来た道を戻りながら家へ戻った。

"ガチャッ"

部屋のドアを開けた。

そこには人影も家具も全て無くなっていた。

あたしがいないうちに男と逃げたのだろう。


「やっと出て行ったか…」


少しホッとした。

…はずなのに涙が止まらなかった。

あたしは捨てられた。

その時、ポケットのなかで携帯が揺れた。

「…はい」

あたしは電話に出た。

「ソウスケだよっ!急に電話してごめん ね〜!」

あたし、なんでこいつに番号教えたんだろ…。

ソウスケのテンションの高さに苛立つ。

「…何か用?」

「っもう、冷たいなぁ〜
用は特にないけど、暇だしっ!」

あたしは暇つぶしなのかよ。

「あたしは暇じゃないから、じゃあね」

あたしはそれだけ言うと電話を切った。

…これからどうしよう。

お金だって全くない。

とにかくこの部屋は出る事にした。


こんなおんぼろな部屋を引き離しても大した額にはならなかった。



ーー住む所探さなきゃ。


でも、今あたしが持ってるお金じゃ部屋なんて借りれない。


あたしには友達なんて呼べる人は全くいない。




あたしのあだ名は"一匹狼"だった。

髪の色と母親の事で、


「クスリの組織と繋がっている」とか、

色々な噂が飛び交っていた。



そのおかげで、誰もあたしに近づいて来なかった。


あたしもむしろそのほうが良かった。


男だけは、近づいてきた。

でも、目的はカラダだけ。


あたしはそんなの全く辛くなかった。




"あたしに味方なんていない"

そう思ってたから。