爽介side


友達との飲み会の帰り道。

こんな真夜中に俺の前を女が1人で歩いてた。



襲われんぞ?



とか思ってたら、女がポケットから何かを落とした。

女は気付かずにどんどん歩いていく。

暗くてよく見えなかったけど、近くにいってみると煙草だということがわかった。

届けようか迷った。

中身を見ると、まだたくさん入ってた。



日頃の行いって大事だし…
届けよ!



俺は走って女のもとへ向かった。

大声で叫んではいるものの、

全く気づかない。

青いTシャツをきているのがみえたから
それを言ってみた。

そして、こちらを振り返った。

女のもとへたどり着いた時おれはヘトヘトだった。

煙草を差し出すとちょっとびっくりしてた。

追いかけていた時はよく顔が見えなかったけど、今ははっきりと見える。

俺は疲れたふりして俯いてコソッと顔を見た。

ミルクティー色のロング。

大きな二重の目。

すらっとした鼻に、唇は薄い。

整った顔立ちをしている。

とても華奢な体。

なぜだか顔が熱くなったのが自分でもわかった。




一目惚れをしてしまったようだ。



なんとかして連絡先を聞き出した。

女の名前は"タツキ"。

その名前が本当に似合う。

「じゃあ、あたし、こっちなんで…」

「じゃーな!」

タツキは人混みのなかに消えた。