これはタイムスリップしたかのような、高梨と舞の関係を示す過去の映像なのだろうか?
「舞! 舞!!」
慌てふためくように高梨が叫んだ。
舞は急に胸を苦しがり、悶絶した。
高梨は狼狽したまま、どうすることも出来なかった。
舞の顔からは見る見る血の気が引いていった。
舞が高梨のことを愛していたかどうかは分からない。
少なくとも、彼の愛に応えようと彼女なりに無理を強いていたのだろうと思うが、それはぼくの勝手な推察に過ぎない。
結局、舞は高梨に抱かれることなく、19歳の短い生涯を終えた。
ぼくはためいき色の夢から覚めた。
ところがその場所も、ためいき色の空間だった。
夢の中でまた夢を見ていたんだと思う。
見覚えあるその場所は、ためいき色の舞の部屋だった。
枕元の壁には満月のタペストリーが煌々と発光していた。
ベッドの上には舞が座っていた。
彼女は目の前で立ち尽くすぼくを見上げ、優しく微笑んだ。
満央が見せるいつもの笑顔と同じだった。
この不可思議な幻想の中でも冷静を保てていたぼくは、思い切って舞に声を掛けた。
「君は高梨君のことを愛していたのかい?」
舞は一瞬どうしてそんなことを聞くの? という表情で瞳を曇らせたが、すぐに浮かべた笑顔で否定をした。
「ええ、愛してたわ」
「本当に?」

