月のあかり

 
      16
 
 満央に会いたい‥‥‥。
 
 枕に顔を埋め、唇を噛む日々が連なる。
 
 自分本位で選択した緩やかで曖昧な別れは、同時に不本意な孤独と寂しさを増長させた。
 
 幻惑は更なる幻惑を召喚し、満央を想う気持ちは正気と狂気の狭間を彷徨する。
 吹き出す心の血は、留め処もなく流れ続けていた。
 
 
「もう、これで終わりにします」
 
 18回目のぼくへの電話で、長澤さんがそう口にした。
 彼女からの報告が始まってから、すでに一ヵ月半が経過していた。
 相変わらず満央と高梨の関係は、深いものへと発展はしていなかった。
 それは満央が頑なに拒んでいたらしい。
 しかし長澤さんにとっては、もうそんなことどうでもいいのだという。
 
「私、劇団辞めるんです」
 
「どうして?」
 
 ぼくが尋ねると、長澤さんは晴れやかな声で言った。
 
「裕也とは縁を切ることにしました」