「ええ、満央から聞いたことがあります。写真も見せてもらいました」
それは満央と舞が顔を寄せ合って微笑んでいる写真で、瓜二つの顔がとても印象的だったことを長澤さんに告げた。
「そうでしょう。私も、舞が初めて満央ちゃんをここに連れて来たときは、びっくりしました」
長澤さんは目を大きく見開いてそう言い、すぐに目を細めてこう言った。
「多分、嶋さんが見たっていうその写真、この場所で私が撮ったんですよ」
「‥‥そうだったんだ」
ぼくは、年下とはいえ初対面の彼女に対して、丁寧語の類で話していたけど、意外な関係とその繋がりに、驚きを含んだ砕けた口調で返事をしていた。
「でもまさか、その3日後に亡くなるなんて」
いまでも信じられない。そう言葉を続けて彼女は視線を下げた。
「舞、心臓病だったんですよね。先天性の‥‥‥」
外で鳴り響く雷鳴が途絶えると、その間を衝くように長澤さんがポツリと呟いた。
ぼくは舞の病気や死因については何も知らない。
ぼくの口からは、咳やクシャミが我慢出来ない時ように、「えっ」という感嘆符が自然と漏れていた。
不可抗力だった。
彼女はそんなぼくの反応を、再び敏感に察知した。
「そのことは満央ちゃんから聞いていなかったんですか?」
「ええ、そこまでは」

