アホすぎる俺と男前すぎる彼女との愛の奇蹟


「2-S紺野 識(こんの しき)、アンタとまた話すかどうかはこれから考える」

卵焼きを頬張りながら淡々と言うもんだから一瞬何のことかと思う。

「お…俺は高垣 舜(たかがき しゅん)!!しゅん坊って呼んでいいからな!!」


「呼ばねぇよ。」


なんだろうねこの温度差

そうか識はクールなタイプなんだな、うん

でもそんなことは気にしない

関係ないもんね



「なぁなぁ識ーっ、識ってスポーツマン?そのジャージって学校指定の?」

「いきなり馴れ馴れしいなアンタ」

「いいじゃんいいじゃん。それよりアンタじゃなくて名前で呼べよー!!よりフレンドリーになれるように!!」

「ならなくていい」

「大丈夫。俺には識が照れ屋さんだってことわかってるから気にするなよ」

「いや違ぇから」

「大丈夫大丈夫、みなまで言うな」

識が宇宙人でも見るような顔でこっちを見た気がしたのはきっと気のせいだろう。

識は俺の質問に答えてくれないので探りながら質問を続けて見る。


「さっき2-Sって言ってたけどそんなクラスあった?AからCまでしかなかったと思うけど」

「…Sは階が違うんだよ、アンタのクラスの真上にある。」



ふーん…そうなのか。

ところでSって何のSだろ?

食べ終えてペットボトルに口をつけている識をあらためて観察してみる。


後ろに流れるように癖のついた短い髪。

涼しい目元に通った鼻筋。

芸能人のような小さな顔に長い足。
長身なのでさらにそれが際立つ。

華奢なようでしっかりついている筋肉。
特に腕なんかはジャージの上からでも筋肉がついているのがわかった。

「識って女にモテルだろぉー?おっとこ前だもんな!」

そう言ってバシバシと識の肩を叩くと識は複雑そうな顔をしながらまぁな、と小さく返事をした。

まだまだ話がしたかったのに悲しいかな昼休み終了のベルが遠くで鳴るのが聞こえた。