「アルト」

「おう、シヴァルか」

話しかけて来たのは銀髪で青い大きめの瞳をもつ、中性的な外見の青年。彼の名はシヴァル・マイラス。アルトとミリアの同級生でアルトの親友。

「いい加減にしてよね。あの女子達、全員お前の追っかけ」

「あ、マジか」

シヴァルはうんざりとした表情で廊下にいる女子達をさす。シヴァルとは対照的にアルトは女子達に爽やかな笑顔を向けていた。

「アルト、あんたまた遊ぶ気じゃあ……」

ミリアのまさかという表情にアルトはニヤリとして

「当たり前!じゃあなっ」

そう言うなりカバンを持って素早く席を立つと、女子の集団の中に入っていってしまった。

「まったく…アルトのやつ、同じチームの僕たちのこと考えてるのかな」

シヴァルは女子が去ったことで機嫌が多少直ったようで、ミリアの手を取ると、早足に教室を後にした。