「真鍋巧にはやられたよ。

皆に見張られていては、

手も足を出せない」

・・・

「・・・そうでしょう?

私のご主人様は、

私を愛してやまない人ですから」


・・・

「お前に触れられない今、

触れたくて、触れたくて、

こんなにお前を愛してしまった自分に、

どうしていいかわからないんだ。

…今朝、言われたよ。

夏樹は海外企画部に異動させると」



「…巧に聞いたんですか?」


「…ああ。

この気持ちはどうしたらいいと思う?」

・・・

私は義嗣に、謝るしかできない。

「ごめんなさい・・・

私にはその気持ちに応える事が、

できません」

そう言って深々と頭を下げた。