巧の言葉に、

皆首を振った。

・・・

『負けませんから』

皆が口々に巧に向かって言う。

・・・

巧は笑って頷いた。

・・・

「今ここで、

なぜオレの妻だと言ったのか…

それは、この中に、悪い虫がいるんでね?

オレの愛する妻に手を出さないよう、

皆にみはっててもらいたいからなんだ」


そう言って微笑んだ巧。

・・・

私は顔を真っ赤にした。

皆の前でそんな…

すると・・・


『大丈夫ですよ。

皆で目を光らせてますから』

そう言う声がパラパラと聞こえてきた。

「悪いが頼むよ。

…夏樹、帰ろう?

一緒に帰ろうと思って待ってたんだ」

巧は私の肩を抱き寄せた。