・・・

しばらく頭を下げた私は、

ゆっくりと顔を上げた。

・・・

「・・ぶ、ちょ・・ん・・?!」

・・・

あんなに離れていたはずの距離は、

いつの間にか数センチしかなくなっていた。

・・・

驚き声を上げた時には、

もう遅かった。

私を抱き寄せた義嗣は、

私の唇を奪った。

・・・

何とかそれから逃れた私は、

義嗣を睨んだ。

「こんな事…

もう、二度としないでください」


「これが最後だ・・・

お前はオレの傍からいなくなる。

アイツの元に行ってしまう。

これはお別れのキスだ」

そう言った義嗣の笑顔は、

どこか寂しげだった。

・・・

私はそんな義嗣を振り払い、

オフィスを飛び出した。