「…白兎からは依頼場所、地図、名前がちゃんと書かれてんのに、兄貴のは名前と特徴“しか”書かれてない」 「…じゃあ、この車はどこに?」 「依頼場所だろ、たぶん」 普通の声で話していても兄貴は気づかない。 「どうするか、雪音」 「…家に帰る。この依頼は、来週へ引き延ばし」 「りょーかい、」 雪音が言うなら、そうしよう。 トントン、と兄貴の肩を叩く。 信号待ちだから、ちょうどいい。