「(今…、今聞けばいいじゃんか。雪音)」
雪音の横顔を見ながら、そう思うがその言葉は届かない。
「(いいや。俺が聞こ)」
隣に座る雪音から視線を外し、兄貴がいる前へ。
「なぁ、あに―――」
依頼のことを聞こうと話しかけた瞬間、横から手が伸びてきて俺の口に。
「あ…??何か、言ったか?」
大音量で音楽を聞いているせいなのか、兄貴には聞こえなかったらしい。
いや…
聞こえたんだけど何を言ったのか分からなかったらしい。
「いや、何も」
かわりに答える雪音
「何で言わねぇんだよ」
「…何かが変」
「お前がおかしいだけだろ、雪音」
「違う。この依頼がおかしい」
「…じゃあ、見せろ」
どういう意味だか分からず、依頼書を見る。
