店を出てすぐに立ち止まった雪音。
「何した、雪音」
「…いや、ただ思い出に浸ってただけだ」
ウソだ。絶対に。
だってさっき吹いた風で“あの時”のことを思い出した。
雪音だってそうだろう。
「(こういう時にウソついても、双子だから分かる)」
長年、雪音のウソにつきまわされた。
だからなのか…
雪音がウソを言う時は、右耳のピアスを触る。
…気づいてた?
じ…っ、と雪音を見てると視線に気がついたのかこっちを見た。
「…何だ」
「いや…?」
「…何?気になるんだけど」
「何でもねぇって、」
「…あ、そ」
うわ…。
素っ気ねぇなぁ。